§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

とりあえず
事務所の自分の机の引き出しから
スケッチブックを取り出し
真っ白なページに
思いつく料理のイラストを描いてみる


「うーん…
夏の食材だから、サッパリにするか、反してガッツリでいくか…」


食材の名前も
スケッチブックに書き出しながら
頭を捻る


カシャ、カシャ、カシャ

突然
私の斜め前くらいから
シャッター音が聞こえる


顔を上げ、音のする方へ顔を向けた


「あ、せんせ、もちょっと口開けて…」


く、くちっ?

な、なんで?

言われるままに、少しだけ口を開けた


「いーねっ!せんせっ!
その唇、エロくて食べたいょっ!」


「なっ!! エロいって!
桜井くんっ!!」


椅子から立ち上がり
桜井くんの傍にずんずん
近づいていく


その間も、シャッター音が止まらない


「んもっ!」


桜井くんの前に仁王立ちして
カメラを睨んだ


「お、せんせ、怒ったカオも
いー感じっす!」


いー感じ?!


「ね、桜井くん!
こんなとこまで撮るの?

ものすごーくっ
迷惑なんデスガっ?」


さらに、カメラを睨む


「うん、撮りますょ」

一眼レフのカメラを顔から離し
私をじっと見つめた


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