§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)
「先輩、ここの病院に変わられたんですね?」
「あぁ、そうなんだ
咲和は今何してるんだ?
あ、社食の栄養士だっけ?」
「いえ、もうそこは辞めたんですょ
今は、この近くの料理教室に勤めてます」
「料理教室?
生徒に教えてる先生とか?」
「あ、はぁ…」
「えー?!マジ?!
お前がせんせいしてんの?
意外だなー へぇー」
そうなのだ
あの頃の私を知ってる先輩は
わたしが人の前に立つことなんて
想像もしてなかったと思う
「何が意外なんでスカっ?!」
私の横に立った桜井くんが
先輩をジロリと睨む
「さ、桜井くんっ…」
「おっと、カレシ連れかょ、
咲和、それを早く言えょ!
オレ、もう行くわ
じゃあなっ」
先輩は
去り際に、ボソボソっと
私に耳打ちした
「なっ、先輩っ!!」
笑いながら病棟へと先輩は去って行った