§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

「せんせ! 今の誰っ?!」


少しふて腐れたような顔をし
私の隣に座ると
私の顔をのぞき込むように
桜井くんが聞く


「あ、うん
大学時代のサークルの先輩ょ」


「ふーん…
で、
付き合ってたの?」


「あはっ、まさかぁ! 
サークルの仲間ってだけょ

先輩と付き合ってた子は先輩の大学の子だったもの」


って、
ちょっぴりウソついた…


正確には、付き合うまではなかったけど…
結構な日々、一緒にいた…と思う


大学時代
人見知りで
なかなかみんなと交われなかった私を
何かと先輩は心配してくれてた


たぶん、妹みたいな感覚だったんだろうな…



「ふぅーん…ま、そういうコトにしておくよ、せんせっ」


「な、なによっ!
そんな、カレシ面しないでよねっ

私の過去なんて、ずっとずっと前のコトなんだからっ!」


「はいはい、わかりましたっ」


そんなコトを言い合いしてる時
私の番号が呼ばれたらしく
桜井くんが立ち上がり受付に走っていった

私も立ち上がり
待合を離れ
桜井くんの後をついていった


そして、皮膚科に向かうため
エスカレーターに乗った


さっき大森先輩が私に耳打ちした言葉を思い出し、ちょっぴり
頬が熱くなってしまった


(咲和、お前、結構キレイだぞ
カレシに感謝しておけょ)


先輩がそう言ってくれたのは嬉しかったけど…


桜井くんは
カンケーない…と思うのょね…


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