§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)
「よう子、どうしたんだ?」
私たちのもとへ近づいた悟さんは
倉田さんと私たちを順に見る
「室長…勝手にすみません…すぐに失礼しま…」
真っ青な顔になった倉田さんは
膝が崩れ落ちそうになった
寸でのところで悟さんが倉田さんを抱きとめた
「悟?! これは何事なのっ?!」
悟さんの後ろにいた悟さんのお母様が
この事態に驚き問い詰める
「母さん、すまない、今日はキャンセルしてほしい
おじさん、おばさん、申し訳ない
せっかく来ていただいたのに…」
悟さんのご両親の後ろに私の両親が心配そうにこちらをみていた
「なにか、大変な状況だな、
私たちのことはいい、
早く、そのお嬢さんを病院へ…」
久しぶりに会った私の父が悟さんを促した
悟さんは、倉田さんを支えエレベーターのある方向へゆっくりと歩いていった
残された私と直
私は、悟さんのご両親に近づき挨拶をする
そして
その場で、婚約の解消を申し出た
悟さん本人がいないところで言うのは心苦しかったけれど
長引かせてしまった私の責任として
伝えた
4人とも、ものすごく驚き
特に父は、勝手に決めたことと、直を悪く言いだしたので
もう少しで、私と口論になりかけたところを
悟さんのお父さまが、宥めた
「あんな、小さくて可愛かった咲和ちゃんが
こんなにもしっかり自分の意志を伝えてるんだ、
小嶺、咲和ちゃんの思うとおりにしてやれよ」
「おじさま…」
母に背中を摩られ、ため息を何度もついていた
「星川さん、小嶺さん、
咲和さんを必ず幸せにします
身勝手を許してください」
直が深く深く頭を下げた
私も直の横に移動して、床に頭が付くかと思うくらい頭を下げた