秘密の2人
茶色の髪
結局悩んだ末、蒼空は自分でイメチェンの方法がわからず、母の案を実行したのだ。
人生初の茶髪。
染め終わって見た自分の姿は、真っ黒の髪の時より少し若くなったように見えた。
「いいじゃない?」
なんとなくそわそわしていると、母が声をかけてきた。
「そうかな?」
「今時の子に見えるわよ。」
「…染める前も後も今時の子なんですけど…」
蒼空はぷくっと頬を膨らました。
「まぁ、誰にアピールするのかは知らないけれど、今までとは違うことには気付いてくれるでしょ。」
母は鏡越しに蒼空に向かってニヤッと笑った。
「どうだか。」
蒼空は頬に溜めていた息をぷーっと吐いた。
〔自分の個性を…と思ったけど、確実に駒居君の嫌いなタイプ方面に進んだね…〕
蒼空は、茶髪は優羽の馬鹿対象に入っているだろうと思っていたが、何の印象も残さないまま二年になるのは嫌だった。
〔どうせ馬鹿になるんなら印象に残る馬鹿になって、忘れられなくしてやろうかな…〕
蒼空は茶髪にしたことをきっかけに、新しい自分になれるような気がした。