秘密の2人
恋と命
過ごしやすい季節はあっという間に過ぎ、心疾患がある蒼空にはつらい冬が訪れようとしていた。
相変わらず蒼空は体調がいい日もあれば、悪い日もある。
悪い日は生徒会室横の資材室に侵入してはソファで休む。
保健室にはいかなくなった。
行くと家に連絡が入り、体調不良の回数がカウントされてしまう。
つまり、カウントされては困るほど体調不良日が増えているのだ。
「最近学校から、本当に体調不良なのかって言われたわよ?一体どこで何しているの?」
母親に聞かれたことがある。
正直に言おうかと思ったが、言えば確実に病院行きになる。
行かないといけないことは分かっている。
でも、まだこの学園の生徒でいたい。
もう少しだけ好きな人と同じ空間に存在したい。
恋する女子は、「恋」だけで突っ走ることができるのだ。
それがたとえ命を削ることになっても、蒼空は後悔しないと決めた。