秘密の2人
「じゃあ、そろそろ行くか。お母さんも心配してるし。」
「うん。そうだね。」
2人は立ち上がり、生徒会室との中扉に向かった。
中扉から生徒会室に入った時、蒼空は立ち止まって後ろを振り返り、資材室をもう一度見た。
「どうした?」
蒼空が立ち止まったことに優羽も気付いて止まった。
「いや…もう二度とここには来ないんだろうなと思うと、なんだかさみしいね。」
「俺、多分いつかまた来るよ。」
「え?」
蒼空は優羽を見た。
「俺、教師になって学園に戻ってくる予定。」
「えっ?そうなの⁉︎」
「何?変?」
優羽は蒼空の反応が気になった。
「いや、変じゃないけど…意外?」
「意外?」
「うん。優羽ちゃん、学園自体があまり好きじゃなさそうだったから、ここの教師を目指してるとは思わなかったよ。」
優羽は以前、蒼空の前で学園の制度に不満があることを話していたのだ。だから、わざわざ教師になって、嫌いな学園に戻ろうと考えているとは思っていなかった。
「まぁ、教師になってからやりたい事があるからな。」
「へぇ〜。楽しみだね!」
そう言いながら、蒼空は資材室の扉を閉めた。
「じゃあ、私は教師姿の優羽ちゃんを覗きに、また学園に来る予定にしとくね。」
「おう。待ってるよ。」
2人は生徒会室を出て、施錠した。
そして手を繋いで、ゆっくりと学年棟に向かって歩き出した。