秘密の2人
楽しみ
高校入試をするまでは、成績で優羽に適う者は誰もおらず、入試も確実に首位だろうと言われていた。
しかし結果は、優羽にとって衝撃的なものだった。
『歴代最高得点』
これは納得できた。
『同率首位』
これが衝撃だった。
自分に並ぶ相手がいるなんて、予想もしていなかった。
今まで経験したことのない高揚感が優羽を襲った。
しかし、両親は気に入らなかったのか激怒はしなかったもの、優羽はお叱りを受けた。
が、幼児期から身に付けてきた防衛術は見事優羽を守った。
両親に何を言えば機嫌が回復するのかは、優羽はお見通しなのだ。
「入学後、最初の試験で必ず単独トップをとる」と約束した。
そして後に、その約束は果たされることになる。
入学直前、優羽は生まれて初めて自らの意志でライバルができたという『楽しみ』を見つけた。