秘密の2人
蒼空の家からの最寄り駅に到着し、2人は下車した。
そしてゆっくりと歩き始めた。
閑静な住宅街に蒼空は住んでいる。
「……俺…両親が弁護士なんだ。」
優羽は話し出した。
「…そうなんだ。」
蒼空が答えた。
〔なぜだろう…。こいつになら話してもいいと思うのは。〕
優羽は自分の事を蒼空に打ち明けた。
生まれた時から『将来』か決まっていること。
両親の期待に答えるために努力していること。
学園の生徒会の役割、学園の本質への不満。
そして……
「俺…今まで正しいと思ってやってきたことが、正しいとは思えなくなってるんだ。」
「……後悔してるの?」
蒼空が聞いた。
「……後悔?……」
優羽は考えた。
正しいとは思わないが、全部間違いだったとも思わない。
マイナスな事もあったが、プラスの事もあった。
勉強をする理由は間違っていたが、勉強をする事自体は今の自分にとって間違いではない。
「…後悔はしていない。」
「うん。」
「ただ…これから先、今までと同じ様な生き方をするのは無理だ。」
「そうだね。」
優羽の中で答えは出ていた。
「俺、自分の為に生きてみる。」
言葉に出して優羽は決意した。