秘密の2人
一旦診察室を出てから、指示されるがままに検査室に移動し検査を受けた。
蒼空は受けたことのない検査ばかりで、緊張の連続だった。
一番嫌だったのは採血検査だった。
今まであまり気にしたことがなかったが、どうやら蒼空は血液が苦手…というか、針が苦手だということに今回気が付いた。
採血中に気分が悪くなり、終わった直後に身体が痺れて力が入らず倒れてしまった。
(気持ち悪い…吐きそう…)
何が何だかわからないまま、気が付いたら蒼空は病院のベッドに横になっていた。
「蒼空…大丈夫?」
ベッドの横から母親が心配そうに声をかけてきた。
蒼空は手を動かしてみた。
身体の痺れは消えて、力も普通に入った。
蒼空はベッドから身体を起こし、周りを見渡した。
白基調の病室に6台ベッドが並んでいる。
点滴をしている人が1人だけいたが、後は蒼空だけだ。
どうやらここは点滴室のようだ。
蒼空は出入り口から一番近いベッドに休んでいた。
「今何時?」
「今?11時半過ぎたところよ。」
母が腕時計を見て答えた。
〔そんなに時間経ってないんだ〕
蒼空は気を失ったのは十数分であったことを知った。
「検査って全部終わった?」
「あともう一つだけあるってみたいよ?」
「えー…」
蒼空は頬を膨らまして口を尖らした。
「あなたが目を覚ましたら検査室に来てって言われてるんだから、拗ねてないで行くよ。」
母親は荷物を持って立ち上がった。
蒼空は靴を履いて、渋々母親について歩き最後の検査に向かった。