秘密の2人
第6章
現実
久しぶりの学校はなんだかいつもと違うように感じた。
風邪なんてひいたことのない蒼空は、学校を休んだことがない。
一週間休んだだけで、自分だけ取り残されて学校が知らない場所になったような気がした。
でも一週間休んだ分、できる範囲でがんばって追いつこうと思いながら授業を受けることにしたが…
〔…やっぱり厳しいな…〕
蒼空は授業を受けて、特進組の厳しさを痛感した。
一週間も休めば授業内容はかなり進んでいる。
普通科の三倍程のスピードで授業が進む特進組は、高校で学習する内容はほぼ修了していた。
一週間分の遅れをとった蒼空は、授業をほとんど理解する事が出来なかった。
欠席などで遅れた生徒の為に、学園には補習授業がある。
しかし、それは放課後に行われている。
蒼空は補習授業を受けたいと思ったが、通常授業の後に受けることになるので帰りが遅くなる。
通学に片道2時間かかる蒼空は、普通に帰っても6時は過ぎるのだ。
補習授業を受けていたら帰宅は8時を過ぎる。
当然、親が許すはずない。
それに…蒼空自身、身体に自信がない。
〔何をどうしたって無理なんだ…〕
蒼空は特進組で学園生活を続ける事を、完全に諦めた。