秘密の2人
それにしても…優羽の堂々たる授業無視はいつからなのだろう。
〔今の内容は聴かなくても解ってるって事なのかな…〕
蒼空は心にジリッと熱くなるものを感じた。
途中までは同じレベルで競っていた相手が、いつの間にか手の届かない場所に行ってしまった。
〔いや、もうこれから更に…だけどね〕
追いつくことのできない悔しさ、そして諦めないといけない挫折感は、蒼空にとって初めての経験だ。
何度頭の中で整理をしても、気がつけば乱れてしまう。
つい、元『ライバル』に対して心に火をつけそうになるのだ。
〔ダメダメだわ…〕
蒼空は優羽の観察をやめて、授業に集中する事にした。