溺れる月
月齢19 夏祭り
月齢19 裕人
「ねぇねぇ、似合う~?」
雫が、紺地に色鮮やかな朝顔が描かれた浴衣の袂を持ち、
くるくると回って見せる。
こんな彼女を見たのは初めてで、
言葉に詰まっていると、
横から叔母さんが口を挟み、
「と~ってもかわいい。ねぇ、ヒロ君」
と、話を振る。
今日は、近くの神社で秋祭りがある。
僕と雫は、一緒に出かける約束をしていた。
「あたしも行きたいけど、今日は旦那の帰りが遅いみたいだからなぁ。
気を付けて行ってらっしゃい。」
そう言って叔母さんが、寂しそうに見送ってくれた。
神社へと続く参道には、人が溢れかえっていた。
人々の雑踏と一緒に間延びしたカラオケが聞こえてくる。
町内会のカラオケ大会が、特設されたステージで行われているようだ。
僕は小さな頃に、まだ生きていた祖母に連れられて来たことがあるのを思い出した。
人ごみに当てられてか、
雫の小さな手が僕のTシャツの裾をぎゅっと掴む。
その手を、ゆっくりと手繰り寄せしっかりと握った。
雫が、紺地に色鮮やかな朝顔が描かれた浴衣の袂を持ち、
くるくると回って見せる。
こんな彼女を見たのは初めてで、
言葉に詰まっていると、
横から叔母さんが口を挟み、
「と~ってもかわいい。ねぇ、ヒロ君」
と、話を振る。
今日は、近くの神社で秋祭りがある。
僕と雫は、一緒に出かける約束をしていた。
「あたしも行きたいけど、今日は旦那の帰りが遅いみたいだからなぁ。
気を付けて行ってらっしゃい。」
そう言って叔母さんが、寂しそうに見送ってくれた。
神社へと続く参道には、人が溢れかえっていた。
人々の雑踏と一緒に間延びしたカラオケが聞こえてくる。
町内会のカラオケ大会が、特設されたステージで行われているようだ。
僕は小さな頃に、まだ生きていた祖母に連れられて来たことがあるのを思い出した。
人ごみに当てられてか、
雫の小さな手が僕のTシャツの裾をぎゅっと掴む。
その手を、ゆっくりと手繰り寄せしっかりと握った。