溺れる月
月齢26
月齢26 裕人
雫の来ない日が続いていた。
あの日、駅で別れてからだから、もう六日になる。
いつもの様に、診察を終え病院を出ると、坂の下で雫が待っていた。
笑いながら手を振っている。
しかし、彼女の様子がおかしいのに、すぐ気付いた。
腫れたまぶたに、かさかさのくちびる。
真青の顔。
黒いレースのワンピースの袖からは、
掌へと血が滴っていた。
袖を捲り上げハンカチで、血を拭い取ってやる。
「雫が、黒い服を着るなんて珍しいね」
彼女はいつも、白やピンクのフワフワしている服を着ているから、
なんだか今日は別人の様に見える。
「ママが死んだの。」
雫が、小さな声で呟いた。
「だから、喪服のつもりなんだぁ。」
とりあえず、雫を連れて家に帰る。
その間中、電車の中でも、歩いていても雫はにこにこしていた。
しかし、家に着きあや子叔母さんが傷の手当てをしていると、
雫は叔母さんにしがみ付いて泣いた。
大声で、ずっと泣き続けた。
あの日、駅で別れてからだから、もう六日になる。
いつもの様に、診察を終え病院を出ると、坂の下で雫が待っていた。
笑いながら手を振っている。
しかし、彼女の様子がおかしいのに、すぐ気付いた。
腫れたまぶたに、かさかさのくちびる。
真青の顔。
黒いレースのワンピースの袖からは、
掌へと血が滴っていた。
袖を捲り上げハンカチで、血を拭い取ってやる。
「雫が、黒い服を着るなんて珍しいね」
彼女はいつも、白やピンクのフワフワしている服を着ているから、
なんだか今日は別人の様に見える。
「ママが死んだの。」
雫が、小さな声で呟いた。
「だから、喪服のつもりなんだぁ。」
とりあえず、雫を連れて家に帰る。
その間中、電車の中でも、歩いていても雫はにこにこしていた。
しかし、家に着きあや子叔母さんが傷の手当てをしていると、
雫は叔母さんにしがみ付いて泣いた。
大声で、ずっと泣き続けた。