ONE SIDE LOVE
それでも平気な顔をして将士の隣にいられるのは、きっと将士がどんなに告白されようとも誰とも付き合わないからだろう。
それはそれで他に意中の子がいるのかとか、色恋沙汰には興味が無いのかなど思ったりするのだけど…。
それからは特に話もなく将士の家に着いた。
将士の家はマンションの最上階で32階にある。
海の見える部屋からの眺望はいつ見ても心が落ち着く。
「将士の家って久しぶり…。」
窓辺から海を見ながらそう声を出す。
「そうだっけ?あ、ぶどうジュースあるけど飲む?」
いつの間にやら制服から着替えていた将士は冷蔵庫の中を覗きながら問い掛ける。
「飲む!」
緊張で喉が渇いていた私は何でも良いから喉を潤したかった。
「はい。」
手渡されたぶどうジュースをいっきに飲み干す。
我ながら色気も何もない。
私が飲み干したのを確認した将士はまた私のグラスの中にジュースを注いでくれた。