ONE SIDE LOVE
――九日前――
「星也、頼むっ!来週の金曜バイト代わって!!」
昼休みの今、ご飯を食べる星也に手を顔の前に合わせて頼み込むと、星也はあからさまに嫌な顔をした。
「はぁ?無理。」
誰にでも優しい星也には何故か俺にだけは厳しい。
「大体結月を一人にさせらんないし。」
星也はゆづがストーカー被害にあってからというもの、ほとんどゆづから離れなくなった。
ゆづははっきり言って、今流行りのアイドルなんかより格段に可愛いが本人に自覚がない。
そのため星也が心配をするのも無理はない。
星也は空手黒帯でいざという時にゆづを守れるだけの力もあるわけだし。
「後藤は何でバイト代わって欲しいわけ?」
そこに、先程まで黙々と弁当を食べていた将士が口をはさむ。
「え…。」
急に口籠もる俺に二人は不審な目を向ける。
「は?もしかして面倒くさいから俺に押しつけようとしてんの?」
ますます顔をしかめる星也に焦る。
「あー、違う違う!由紀さんが星也連れてこいって!」
慌てて否定すると二人は訳が分からないといった様子で俺を見る。