ONE SIDE LOVE
「いや、あのー、そのー…。」
由紀さんには星也には自分が呼んだ事を言うなと口止めされていたのだが、二人の俺を疑う表情に思わず口を滑らしてしまった。
「由紀さん?由紀さんって誰だよ?」
星也の鋭い視線に目を反らすことも出来ずに、冷や汗が流れる。
「はぁ、もしかしてまた?」
また、と星也が言うのも仕方がない俺はいつも女の子達から星也に近づくためのダシに使われているのだ。
「いい加減、振り回されるの止めにしたら?」
星也が俺のことを思ってそう言うのは分かるが、引く手あまたの星也にはきっと俺の気持ちなど知らないだろう。
どんなに追い掛けても手に届かない距離にいる人を是が非でも捕まえたいと思う気持ちを…。
「いいじゃん、星也。付き合ってやれよ。俺もそろそろゆうに本気でいこうと思うし。」
そう言って将士が助け船を出してくれるとは意外だった。
「あー、はいはい。将士がやっと本気出すなら俺は邪魔だろーし?バイトでもなんでもいってやるよ。」
やれやれといった感じに、星也はバイトを引き受けてくれることになった。