ONE SIDE LOVE
あれは去年の冬だった―――。
バイト帰りにたまたま通りかかった、小さな公園に何気なく目をやると制服姿の泣いている女の子がいた。
その子に話しかける言葉も見つからずただ持っていたタオルだけを押しつけるように渡して逃げてしまったことがある。
それからバイト帰りによくその公園を通るようになったけれど、あれ以来彼女に会う事はなかった。
―――ふとした時、彼女の事を考えてしまっている自分に自分で笑ってしまう。
――あぁ、何思いだしてんだか。
二度と会う事など無いと分かっていても、どうしても思わずにはいられない。
また、会えるのではないか……と……。
――ヴー ヴー――
手元のスマートフォンが震え、着信を伝えた。
先程、由紀さんに星也からの返答を伝えたので、相手は由紀さんだろう。
スマートフォンを覗くと着信はやはり由紀さんで、お礼と期待の言葉がつづられていた。