ONE SIDE LOVE
今朝からずっと雨が降り続けている。
雨は嫌いではない。
雨の日の独特な匂いだとか、晴れの日とは違う景色だとか、露の煌めきだとか、そんなところが好きだ。
古典の授業中窓からぼんやりと外を眺める。
教壇の前では先生が悲恋について語っている。
「この二人には身分差があり―――」
――悲恋…か……。
恋はいつの時代でも難しいものなんだな。
「結月ー。」
「…星也。」
いつの間に授業が終わっていたのか弟の星也が私の席まで来ていた。
「何、どうしたの?」
高校まで同じ学校の星也は隣のクラスだ。
大方いつものように忘れた物を貸せとかだろう。
「今日将士(マサシ)の家行くけど結月どうする?」
私が高校1年の時にストーカー被害に合ってからというもの2年になった今でもいつも登下校は星也と一緒だ。
「……。」
将士は私の初恋の相手であり、星也の友達である。
私としてはもちろん行きたいが、将士はどう思うのだろうか。
星也と姉弟だから行くのはおかしいと思う。
「私はいいや。将士によろしくね。」
本音を言うと将士と少しでも話したい。
でも、友達同士の間に入れる程私は将士と仲良くない。