ONE SIDE LOVE
ついに星也がバイトを代わってくれる日の放課後になった。
その約束を覚えていないのか、いつものように結月と帰ってしまった星也に焦るが、星也に限って約束を破るとは思えないので心配ないだろう。
星也達の背中を見送りつつ、自分の帰り支度をする。
ほんの30分前まで雨が降っていた事が嘘のように、今の空は引き込まれるように青く澄んでいて、雲一つなかった。
だからだろうか、彼女に出会える気がしてならなかった。
バイトも何もないのに遠回りをしてあの公園へと自然と足が動いていた。
公園ではまだ幼い子ども達が走り回って、はしゃいでいた。
そんな中、ベンチに座る一人の女の子が目に入った。
その女の子の手には、あの日俺が渡したタオルが握られていて、一瞬時が止まったかのような感覚に陥った。
彼女はじっとタオルを見つめた後に立ち上がると、こちらに振り向いて目が合うと動きを止めて目を見開いた。
「……うそ…。」
その彼女の声はあまりにも小さくて俺の耳には届かなかったが、俺も同じことを思っていた。
歩きだし、こちらに向かってくる彼女に心拍数があがる。