視える君 視えない君

―――ガサゴソ

ん・・・?
これか。
「ぅわっ・・・」
なんじゃこりゃ。
生徒手帳が、派手にデコられてる・・・。
なにしてんだよ。
あたしゃ・・・・・・。
アホかいな。
まぁ、センスいいのは認めるけどよ~。
って。
中身だ。中身~!!
中を見ない事には、なにも始まらないないよっ。
ん~、よし。
では、ご拝見いたしますよっと。
・・・・・・えーと。

【藤山 裕】
 199X年 3月25日生
 赤岸高校 2年F組 34番

あ、私の名前って藤山って言うんだ。
てか、なんで34番??
・・・・・・!!
思い出したっ!
赤岸高校は、出席番号が成績順なんだった。
たしか、悪い方からだった気がする。
2-Fは35人だったはずだから、私はクラスで2番目に頭がいいんだ。
へー!私ってすごーい!!
・・・――――――っ!!
痛っ――――――!!
なにこれ、あ、頭が・・・。
割れそうだよっ――――!!
ちょっと・・・。
外に、出よう・・・。

―――バタンッ

――――――ハァハァ・・・。
なんとか、痛み、が、治まっ、た。
ふぅ・・・。
外に出て正解だったよ。
それにしても、さっきの激痛はなんだったんだろう?
それと・・・。
激痛がしてる間、脳裏になにかの映像が流れてたような・・・。
あれは、なに??
私の、友達・・・?
ううん、それよりもっと大切な存在・・・。
親友・・・かな?
ひとつの机を囲んで仲良さそうに座る4人。
そのなかに私はいて・・・
「あれ?藤山じゃん?」
えっ?
私が見えてんの?
「藤山?あ、もしかして藤山にも見えてねぇの?」
「あ、見えてるよっ」
この人、見たことあるはずなんだけど・・・。
思い出せないよー。
「そっか、よかった。あ、俺のことわかる?」
この低い声・・・、明るい金髪・・・。
もしかしてっ。
「沖咲・・・怜王?」
そうだ。思い出した。
この見るからに悪そうな男は、以外にも2-Fでクラス一頭が良い人だ。
ろくに授業に出てないくせにね。
「あのさ、俺なんで見えてねぇの?」
「見えてるけど」
見えてないと話せないし。
「藤山じゃなくて、周りのヤツらに。爽麻とかさ」
ふーん。
あ、爽麻っていうのは、沖咲怜王の悪友。
そんでもって、悪友の中でも沖咲怜王と一番仲のいい人。
フルネームで言ったら佐和田爽麻。
・・・だった気がする。
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