感情失者
鍵は、縦の方向に並んでいた。

簡潔に言おう。

つまり、鍵は開いていたのだ。

さすがに目が覚める。

何で、開かないんだ?

もう一度、力ずくで押すと扉が少しだけ開いた。

壊れていた訳じゃなさそうだ。

直樹がホッとした瞬間、ブワッと『何か』においが漂った。

例えるならば、小銭を触ったときの金属のにおいだ。


ーー鉄?


いや、違う。
これは・・・。

直樹は顔から血の気が引いた。

それと同時に、冷や汗をかく。

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