感情失者
「だ、誰だよ・・・」
そこには、扉に背を預け長いまつげを伏せている少女がいた。
真っ赤なワンピースを着ていると思っていたがすぐに、血に染まっているということに気付いた。
きっと、地面についている赤い髪も血に染まっているのだろう。
ワンピースから見える細い腕や足には深い切り傷、頭からは血が流れていて髪をつたい地面に垂れていく。
突然少女の上半身がずれて、ゴンッ、と音をたてながら地面にぶつかった。
「!」
慌てて彼が近づき首の脈を、確認した。
静かだが微かにあるのを指から感じ、直樹は安堵する。
どうやら気絶してるようだ。
(見ちゃいけないものを見ちゃったよ・・・!)
気が付いたら、眠気なんて馬鹿みたいに覚めていた。
この少女をどうするか悩んでいたが、数分後、少女は直樹に担がれていた。