恋のち、飴玉
いつもと同じ。繰り返されるこの光景に、今日も嫌気が差す。今すぐ盛大にため息を吐き出したい。
「…まったく、どうして同じ人間から生まれたのにこうも違うのかしらね。姉の方が出来が悪くてどうするのよ。恥ずかしいと思わないの?」
見なくてもわかる、母から注がれる厳しい視線。私は俯きながら、二人に気付かれないように小さく顔を顰めた。
きっとこういうのって、DVの一種なんだろうな。
浮かんだ思いを口には出さず、頭の片隅に追いやる。
「ねえママ、いい加減お腹空いた」
そんな私をよそに、妹は母に我がままを言うようにそう告げた。
それを聞いた母はぱっと表情も雰囲気も一変させて、「あらいけない!すぐご飯作るわね」と明るく言った。