キミの背中。~届け、ラスト一球~
心が近付く決勝戦
試合当日。
あたしは、緊張でほぼ寝つけず朝を迎えた。
気になっていた天気は、曇りだけど雨は一日降りそうにない。
選手にとっても観客にとっても、ちょうどいい天気だと思う。
あたしはスタンドミラーに制服姿の自分を映し、パチンと一発頬を両手で叩いて気合を入れた。
いよいよだ。
野球部の決勝で、あたしの復帰の日。
できる。きっと、うまくやれる。
決勝の今日は全校生徒で応援するため、日曜日のグラウンドは多くの生徒で賑やかだった。
バスを貸し切りそれぞれ乗り込み、あたし達吹奏楽部もバスで球場に向かう。
パーカッションやチューバやユーホなどの大きな楽器だけトラックに積み、他の楽器は自分で手に持ちバスに乗ることになっている。
部員23名は大型バスに乗ってもとても余裕があり、リラックスするにはちょうど良かった。
バスで移動中、目を閉じてスタンドで吹く自分をイメージする。
部員の一番後ろが、トランペットの定位置。