キミの背中。~届け、ラスト一球~


ニヒヒと笑う草太は、ミナにみんなに配るように言っていた。


「おまえのその袋はなに?」


草太があたしの手に下がる小さな袋を指差す。


あたしは体の後ろに袋を隠し、目を細めた。


「草太にはあげないよ。これはあたしのソフトクリームなんだから」


「またソフトクリーム?好きだなおまえ」


あたしはツンと顎を突き出し、ソフトクリームを袋から取り出す。


「兄さん。
これ、兄さんの分っす」


草太がミナから2本果汁アイスを受け取り陵雅さんに渡す。


あたし達はミナも合わせて4人で、校舎近くの影に行ってアイスを頬ばった。


「希歩、夏休みの課題やってる?」


オレンジのアイスをかじったミナに聞かれ、あたしは肩をすくめて笑ってごまかした。


「うそ……やってないの?マジで!?
やってたら見せてもらおうと思ったのに」


「ミナさん、あたしが真面目に課題やると思う?」


「まぁ、そうか……そうだよね、希歩が真面目にやるなんて考えられないよね。やってたら地球破滅するもんね」


おい……。


いくらあたしでも、そこまでの答えは求めてません……。


地球破滅って、失礼な……。




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