キミの背中。~届け、ラスト一球~
午後4時。
部活を終わらせ、楽器を片付けながらスマホを見ると30分前に草太からラインが入っていた。
楽器の音で全く気づかなかったな。
何の用だよ今更。
チっと舌打ちをしてラインのトークを開くと、「部活終わったら速攻校門とこ来い」
と一方的に書いてあった。
何なんだ。偉そうに。プレゼントくれるわけでもあるまいし。
あたしはツンと顎を突き出して、長谷川さんに手を振り校門に向かう。
外に出ると、夕方なのにも関わらず、熱い太陽に肌がジリジリ焼かれる音が聞こえる。
校舎の壁が太陽の光で眩しくて目を細めると、殆ど何も見えなくなる。
手を前にかざしすと、校門前に私服姿で自転車にまたがる草太が首を伸ばしてあたしをあたしを探しているようだった。
「おっまえ遅ぇよ!!部活終わったら速攻来いって言っただろうが!!」
「だって気づかなかったんだもん。
まさか今頃ライン来るとか思わないし」
あたしは誕生日プレゼントもくれない冷たい草太に嫌みをたっぷり込めて言った。