キミの背中。~届け、ラスト一球~
……草太、覚えてたんだ。
「自然と来なくなってて俺も忘れかけてたけどさ、この間思い出したらなんか急に来たくなって」
そう言うと、草太は突然不愉快そうな表情になりあたしの全身を舐めるように見始めた。
「まぁ、おまえのビキニ姿は見たくないけど」
バシっ!!
草太の頭を叩くと、草太は大袈裟に頭を押さえた。
「いってなぁ!!何すんだよ!!」
「そう言うのって、セクハラの一種なんだよ?知ってる?」
あたしは草太を睨みつけ、ひとりで砂浜に降りようとした。
すると……。
ガシ……。
草太に手首を掴まれ、あたしは振り返って掴まれた手首を見てから草太を見上げる。
「なに?」
眉を寄せると、草太はあたしの手を引いて歩き出した。
せっかく砂浜が目の前にあるのに、そこに降りずに防波堤の上を歩く。
「ちょ……なに?何なの?手離してよ!!」
手首を掴まれたまま、あたしは前のめりになって歩く。
「どこ行くの?あたしは波打ち際に行きたいの!!ここまで来たのに海はお預けとかやめてよね!!」
「………」