キミの背中。~届け、ラスト一球~
「希歩、誕生日おめでとう」
草太の頬笑みがオレンジ色に染まり、草太の温かさが増す。
こんなプレゼント貰ったのは、生まれて初めてだ。
あたしは太陽が傾いてロウソクから位置がずれる前に、スマホを取り出して写真を撮った。
どんな豪華なケーキより嬉しい。
どの位置にケーキを描けばちょうどロウソクの上に海面に伸びる夕日が重なるか、前もって下見が必要だと思う。
完璧主義の草太のことだから何度も描いて調節していったに違いない。
こんなことしかしてやれないなんて草太は言うけど、これ以上のプレゼントはないよ、草太。
「17なのに、なんでロウソクが1本しかないんだとか言うなよ」
草太が苦笑する。
「言わないよ」
あたしは涙を拭いながら笑った。
太陽の傾きは意外と速い。
ロウソクの火が消えるまで数分しか見ることが出来なかったけど、あたしは今、多分世界一幸せな誕生日を迎えていると思う。
「ありがとう草太。感動した」