キミの背中。~届け、ラスト一球~
仲直りの焼うどん
放課後、ダメだと思いながらも、空き教室でパート練中に窓からグラウンドの様子をうかがっていた。
グラウンドで部活に励む野球部員を、マネージャーのミナの隣に立って見学している陵雅さん。
時々、ミナの持っているバインダーを覗き込んで何かを確認し、また部員達を眺めている。
陵雅さんに動きがあったら、あたしは部活を途中で切り上げグラウンドに走ろうと思った。
ミナも、陵雅さんが帰りそうになったらラインで知らせてくれると言った。
陵雅さんに想いを伝える……。
どう言ったらいいんだろう。
もしフラれたとしたら、これからどうする?
ただでさえ一緒にいれる時間は少ないのに、フラれてお互い気まずくなって、避け合うようになるかもしれない。
そうなったら、告白したことを後悔するかもしれない。
どうする?
やめるなら、今だ。
告白するのとしないのと、後悔しないのはどっち?
ピコン。
スマホから鳴った小さな音に、あたしの肩は大きくビクついた。
『兄さん、もう帰るみたい!!』