キミの背中。~届け、ラスト一球~
想い気づく文化祭
文化祭当日。
朝練の為早く登校したのに、もう既にたくさんの生徒が来ていて飾り付けや催しなどの最終確認をしていた。
ウチのクラスメイトも何人か登校していたけど、手伝うことの出来ないあたしは、一言謝ってから音楽室に向かった。
音楽室からは、パラパラと音が聞こえてくる。
ステージに立つメンバーは、きっと緊張してると思う。
あたしもだから。
「おはよー」
あたしが音楽室に入ると、8人のメンバーが笑顔で振り返った。
「いよいよだね」
トランペットをケースから出しながら言うと、みんなは緊張と楽しみがない交ぜになった表情になった。
コンクールじゃないから結果は気にしなくてもいいのに、どうしてもコンクールの時と同じような緊張感がある。
ステージの大きさなんか関係ない。
みんなの前でステージに立ち、どれだけの人の心に響く音楽が出来るか。
考えることは、コンクールもこの文化祭も変わらない。
あたしはマウスピースで唇を慣らし、昨日草太から貰ったお守りを手に取った。
でこぼこと歪な形で、縫い方も下手だから中の綿が今にも出て来そうになってる。