キミの背中。~届け、ラスト一球~


窓の外は降り積もった雪で真白。


部屋の窓を開けて見下ろすと、灰色の雲の隙間から差す日差しに雪がキラキラ眩しく光っている。


寒いけど、今から草太に会えると思うと気分が上がる。


大きく深呼吸すると、冷たい空気が体の中を通った。


「希歩!!」


草太に呼ばれて下を見ると、ごわごわに服を着こんだ草太があたしに向かった右手を上げている。


「すぐ行く!!」


あたしは勢いよく窓を閉め、ドタバタと準備をする。


草太から貰った紫のマフラーと手袋を付け、最後にスタンドミラーで髪型をチェックする。


外に出ると、草太は黒のダウンポケットに両手を突っ込んで背中を丸めていた。


「相変わらず寒そうだね」


あたしが言うと、草太はマフラーに顔を沈めて鼻をすすった。


あたしのプレゼントしたマフラー。


何だか、幸せ。


草太に会うまでは緊張で落ちつかなかったけど、こうやって隣を歩けば緊張なんてなくなる。


恋人と言うよりも、まだ幼なじみのまま。


他の人があたし達を見ても、付き合ってるようには見えないと思う。


気まずくないから、いいのかな?これで……。




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