キミの背中。~届け、ラスト一球~
ここから
陵雅さんの見送りをしたあと、あたし達は通常の部活に戻った。
陵雅さんは行ってしまったけど、あたし達の生活に変わりはない。
部活を終えた帰りに、いつもの月極め駐車場のブロックに腰かけて、あたし達は時間を共に過ごした。
「あ~あ、今日はなんか疲れたなぁ」
あたしが首を回しながら言うと、草太が眉を寄せて笑う。
「ばあさんかよ」
その言葉にムッとして、草太の二の腕を殴った。
「でもよかった。陵雅さんにちゃんと届いてて」
「そうだな」
草太は空を見上げると、雲のない空にいくつもの星が瞬いていた。
「また新しい一年が始まるね」
陵雅さんを見送った途端、あたしはこれから3年になるんだって意識が強くなった。
今まで全く実感湧かなかったけど、来年は自分たちの番なんだって、受験について部活中考えていた。
「来年こそは、甲子園行きてぇなぁ」
グッと空を見上げる草太の喉から、苦しそうな声が出る。
「行けるよ。県予選、惜しいところまで行ったんだから」
草太の視線が、星からあたしにおりてくる。
「それに、草太がキャプテンだしね」
あたしがニヒって笑うと、街灯にぼんやり照らせた草太が口角を上げた。