キミの背中。~届け、ラスト一球~


夜7時前。


太陽が沈んで中途半端の明るさに妙に寂しさを感じる。


空の色は紫と紺がマーブル状に混ざっている感じで、別に何も不安はないのに変なざわつきが走る。


あたしはこの時間帯の空が一番嫌い。


だって、寂しくて不安になるだけでいいことは何一つないから。


家から出て汗をかかないようにゆっくり歩いていると、駐車場に腰かける人影が見えた。


……ん?

あ、あれ?


目を細めて視点を定める……と、ブロックに腰かけていたのは草太ではなく、なんと陵雅さんだった。


えっ!?なんで?


一気にパニックになったあたしは、大声を出しそうになった口を両手で押さえ下を向いて自分の格好を再確認する。


手の届く位置にあった、超適当な服装。


会う相手が草太だからと、完全に気を抜いてた……。


っていうか、なんで陵雅さんがいるの?

見間違いじゃないよね?



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