キミの背中。~届け、ラスト一球~
「どれだけ自分のやってることに興味を持つか。どれだけ好きになって、自信を持って打ち込めるか」
「………」
「あの頃はただカッコよくなりたくて入ってさ、たいして野球好きじゃなかったのに、今の俺は、この世から野球無くなったらたぶん死ぬもん」
陵雅さんが笑うと、街灯に優しく照らし出された白い歯が眩しいくらいに光って見えた。
野球が無くなったらたぶん死ぬ、か……。
大袈裟な言葉。
だけど、とても息苦しくなって、缶を持つ手に力が入った。
「俺達、今甲子園行くぞって張り切って練習してるけど、実際そんなに強いわけじゃないだろ?今まで県大会で敗退してるし」
「……はい」
「でも、だからこそ、今年こそはってみんなキツイメニューもこなしてる。そんな姿を見てるとさ、俺いつも思うんだよね。ああコイツらは、本当に野球が好きなんだなって」
グイっと、陵雅さんが空を仰ぐ。