キミの背中。~届け、ラスト一球~
大好きな人と見上げた星空は、とてもキレイだった。
不規則に瞬く星の隙間を、小さな飛行機が光りを点滅させながら飛んでいる。
好きな人に言われると、素直に聞いていしまいそうになるのはどうしてだろう。
草太の時は、反抗したりするのに。
あたし、ものすごく大事な時間を失って来たのかもしれない。
でも……ウチの吹部に入るのは、何だか抵抗がある……。
しばらく夜空を見上げたあとに、パっと隣に視線を下ろすと、陵雅さんがあたしを見ていて思わず体をのけ反らせてしまった。
心拍数が一気にあがる。
いつから見てたの?そんな近くであまり見ないで。
とくに今みたいに不意打ちとか……あたし、どんな顔してた?
絶対ブサイクだったじゃん!!
あからさまに目を逸らして挙動不審になるあたしを見て、陵雅さんが口角を上げる。
その微笑みはこの夜空の星のどれよりも美しくて、瞬きの回数が多くなる。