キミの背中。~届け、ラスト一球~
「わざわざ待ってたの?」
「別に?コンビニ行ったついでだよ。
そろそろ帰ってくる頃かなと思ったから」
「ふーん」
あたしは適当に相槌を打つ。
「で?愛しの“陵雅さん”との特別な時間はどうだったわけ?」
“陵雅さん”の部分でわざと乙女ちっくな声を出した草太を、ギロリと睨みつける。
「サプライズをどうもありがとうございました」
あたしは、嫌みったらしく口を引きつらせ言った。
その後に、「マジでありがとう」と真面目に言い直す。
「ちょっと元気でたかな。今日一日暑くてヒマで超気分沈んでたから」
あたしが言うと、草太は鼻で笑った。
「陵雅さんに言われた。あたしにはトランペットを吹ける場があるんだから、変なプライド捨てろって」
「え?なに?
おまえプライドとかあるの?」
「は~?何その言い方!!プライドくらい誰だってあるでしょ?」