キミの背中。~届け、ラスト一球~


軽く草太のすねを蹴ると、草太は大袈裟に足を抱えジャンプしながら悶えた。


「でも、兄さんの言う通りじゃん。
ウチには吹部があって、吹ける場所があるんだからさ」


「………」


「俺は、野球が出来るだけで幸せ」


草太は言いながら、コンビニの袋を覗き込んだ。


「大好きな野球をただがむしゃらにやって、それで結果がついてきたら一石二鳥」


「はい」と手に持たされたのは、あたしの大好きなブルーベリーヨーグルト。


「それ食ってもう一度よく考えてみれば?」


ヨーグルトがひんやりと冷たくて、手の平が気持ちいい。


草太のヤツ、コンビニ行ったついでとか言いながら、あたしの大好きなヨーグルト買っててくれるなんて。


あたしの帰りを待つ為に、コンビニに行ったんでしょ?


陵雅さんの件といい、このヨーグルトといい、草太はいつもさりげなく優しいんだから。


「じゃあな。俺明日も部活だから、帰ってもう寝るわ」


「え?もう?まだ8時過ぎだよ?
小学生でもこんな時間に寝ないよ?」


笑いながら言うと、草太は不満そうに眉を寄せた。



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