キミの背中。~届け、ラスト一球~
懐かしい吹奏楽部
「新堂さん」
帰りのHRが終わった直後、教科書をスクールバックに詰めていると、急に女子に話しかけられ手を止めた。
「何?」
顔を上げると、同じ学年の吹奏楽部員の女子が2人立っている。
「あ、急にごめんね、話しかけて」
「ううん。別に大丈夫だよ。どうしたの?」
髪が長くて大人しい感じのこの子は、確かトランペット吹いてる子じゃなかったっけ……?
名前は、トランペットの子が長谷川さんで、その隣のトロボーンの子が佐々木さん。だったような気がする。
「新堂さんさ、中学の時吹奏楽部だったんだよね?」
ドクン――…。
心臓が、鈍い動きをした。
別に知られたくなかったわけじゃないけど、突然言われると動揺してしまう。
きっと、同じ中学だった子達から聞いたんだろうけど……。
あたしが気まずく「うん」と答えると、長谷川さんは急に顔を明るめてあたしの両手を握った。
あたしはあっけに取られて目と口をポカンと開ける。
「新堂さん、お願い!!吹部入って!!」
「え!?」