キミの背中。~届け、ラスト一球~
更に目を丸め長谷川さんと佐々木さんを交互に見ると、ふたりは必死で助けを求める表情であたしを見ていた。
「お願い!!この前トランペットの子が辞めちゃって今あたしがひとりなの!!」
「う、うん」
「今度野球部の試合の応援で吹かないといけないのに、人数足りなくて困ってるの!!」
すがりついてくる長谷川さんを見て、心が痛んだ。
人数が全然足りてないのは知ってる。
部員募集のポスターまで作ってたんだから。
人数不足の状態で曲を吹くのがどれだけ寂しいか……知ってる。
知ってるけど……。
「ね!!お願い。金管楽器は経験者じゃなきゃすぐには吹けないから!!」
「そうたけど……でもあたしは」
「新堂さんお願い!!時間がないの!!
今のトランペットに新堂さんが必要なの!!」
「いや、でも……」
あたしが言葉を濁しても、長谷川さんは全く引かなかった。
「あたし音楽室で待ってるから!!今日は見に来るだけでもいいから来て!!お願い!!」
「あ、いやでもっ!!」