失った大切
『朋夜)よっ!!
相変わらず言われてんねー』

ケラケラ笑う此奴
ほんとに似ても似つかない双子

『一颯)別に。
それより、あんたはいいの?
私と同じ学校で
親父になんも言われないわけ?』

此奴は親父について行った。
私も親父といたかったが
婆に連れて行かれた

私は特に行きたい高校もなかったが
頭が悪いため
この高校へ来た
兄貴は婆に会いたくないが
この高校に来たらしい。

『朋夜)親父にはなんも言われねーよ
つーか、お前はいいわけ?
あの人になにも言われねーの?』

あの人、婆…母さんのことだ

『一颯)あの人は私を引き取るだけ引き取って後は好きにしろってやつだからさ』

未来ちゃんにまたね、と別れを告げると
朋兄と歩きながら話す

『朋夜)ふーん、
あ、今日、剛が迎えに来てんだけど乗ってく?
どーせ、駅から歩きだろ?』

剛、一番上の兄貴で
20歳だ

『一颯)まじ!?んじゃ、乗ってこ!!』

私は笑顔で頷いた
私等は特別仲良しな兄妹ってわけではない
みんな、半分ずつしか血の繋がりがないのだ。

剛は父の連れ子
朋兄は正真正銘の親父と母さんの子供
私は…

『一颯ちゃん!!』

私の名を呼ぶ男
渡邊健一と母さんの間に出来た…子供

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