失った大切
『一颯)なんですか、
私、これから友達と遊びに行くんですけど』

朋兄は機転を利かせて
すぐに他人のフリをして離れて歩いた
私は黒いスポーツカーから顔を出す
まぁ、若い男に近付くとそう言う。
此奴は私の父親になった。
だけど、父さんなんて呼ばない
いつまでも渡邊さんだ
父さんは親父だけだ。

『健一)そっかぁ、
照華が仕事休みだから3人で入学祝いでも…って考えたんだけどなぁ』

照華…私の母親だ

『一颯)そうでしたか
すみません、、』

私が謝ればその人は首を振り
〝いいんだ!!気をつけて〟と言い残し
母さんを乗せた車で走り去る

私は無意識のうちに拳を強く握っていた
憎い
家族を壊した彼奴等が…

『剛)一颯!!朋夜!!』

そんなとき今度は白いスポーツカーが私の目の前にとまり
中からスラッとした男と
綺麗な金髪の外国人が出てくる
そして、私と朋兄の名を呼ぶ

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