ソフトな関係、ディープな事情



「青葉」


「え……」


「青葉、だったよね。君の下の名前」


「ああ……」



教室の自分の席で、手に顎をのせながら外を見ていた時。唐突に名前を呼ばれた。


相手は眼鏡をかけた男子生徒。


興味もなしに、俺はまた窓の外へと視線を向ける。



「うっわお、クールだねぇ。『なんも興味ないでーす』って顔してる」


「………。」


「ああ、そうそう。入学式での新入生代表の話聞いた?ははっ、俺ビックリしちゃったよ」


「………。」


「あれー?無視?……あ、そっか。俺の名前言ってなかったか。俺の名前は、


『いずみ』だよ」


「?! 和泉……っ?!」



『いずみ』だって?


思わずその名前に反応してしまい、ガタッと音をたてて立ち上がる。


幸いにも、教室内はザワついていたために目立つことはなかった。

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