無欲と強欲
「そ、世界一。ふーちゃん以上に可愛い子なんていないね」


「ふーん。ほんでも、そのふーちゃんいう子より綺麗なモンは、ぎょーさんおるで」


「むー、綺麗な子はいるだろうけどさ。可愛い子部門はふーちゃんが一番さ」


「ははっ、ほなら綺麗な子部門は【9番目の慈愛】やなぁ」


「【9番目の慈愛】? 何それ、君の仲間?」


「仲間っちゅーよりは、他人に近い存在やんなぁ。せやけど、あてはあの子がだーい好きや。

ま、あの子はあてのこと、嫌っとんのやけどな」


「わーお、なにその不利な恋。そんなんで振り向かせられんのー?」


「当たり前。あてに出来ひんこた無いねん。……せやけど、」


「?」


「あんの【雨曝しの吸血鬼】は排除しとかなアカンなぁ……。

あの子の傍に四六時中おる邪魔モンや。早いとこ消えてもらわんと…なぁ?」


「……5番目が怖いよー」

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