くすんだ空を見上げれば
外の風は涼しくて、その辺を散歩しようと涙を拭きながら歩き出すと
「かえちゃん!!」
後から慌てて追いかけて来る神谷が目に入った。
また名前を呼んでくれた事が嬉しくて更に涙が溢れてきた。
ゴシゴシと目を擦るとその手を神谷が掴んだ。
「そんな強く擦ったら駄目だよ」
困ったような心配そうな神谷の手が
やっぱり凄く温かくて
この手を振り払ってしまったあの時の嫉妬深い自分を後悔した。
「ありが…と…」
小さく言うと
「少し歩こうか。
俺、朝からずっと飲んでるから散歩、付き合ってくれる?」
気まずそうに言ってるのが分かった。
「うん。私も…
散歩したくて…」
神谷が先に歩いて行き、涙であまり前が見えない私はゆっくりと歩き出した。
手摺を掴んでゆっくり階段を降りてると
下で神谷は待っててくれた。
また、こんな風に二人で話せるなんて思ってなかった。
神谷は何も悪くないのに何だか私のせいで迷惑かけた。
そしてやっぱり後悔をする。