くすんだ空を見上げれば
「ごめんね…」
もしかしたら神谷は私が謝る意味さえ分からないかもしれない。
私が勝手に好きだから…。
それでも
この時間、この時は真実で
だからそれで良い。
「もう謝らないで?
俺が悪かったから…。
ごめん」
切なそうに神谷の声は震えていて。
もしかしたら嫉妬なんてする必要がなかったのかもしれない。
過去なんて
知る必要なかったのかもしれない。
今の 神谷 を一番私が分かっていれば
今の 神谷 をもっと知っていけば
それで良いのかもしれない。
神谷はそっと私から離れると涙を指で拭ってくれて
私の腫れた瞼や擦れて痛い目元を優しく指でなぞった。
「ごめん」
小さく呟いて。