くすんだ空を見上げれば
「俺さ、前の女の事とか、かえちゃんには言いたくないんだ…。」
ゆっくり話し出す神谷。
私の手を握って歩幅を合わせて歩いてくれる。
「言う程の事でもないし。
最初付き合った女に浮気されて、女ってもん信じれなくなって…
だから寄ってくる女と遊んでたんだ。
体だけの関係ってやつ。
中にはこの前みたいに勘違いして付き合ってるって思ってるのもいるみたい。
俺はあいつの名前だって覚えてないし。顔は分かったけど。しつこくて、だから覚えてた。
別に引きずってる程好きな奴居ないし、こんな過去の事話したくなくて。
酷い言い方してごめん」
神谷はどんなオモイで言ってくれたか分からない。
「私も…ごめんね。
もう聞いたりしないから。本当にごめんね…」
酷いのは私の方だ。
神谷は何も悪くない。
なんて最低なんだろう。もう少し相手の事も考えないと…。
涙はすっかり止まってさっきよりもヒリヒリと痛む。
こんなに泣いた事今まであっただろうか。
「何か飲む?」
気付くと小さな公園の前にいた。
「大丈夫だよ…」
神谷は販売機で水を買って
二人で公園のベンチに座った。