くすんだ空を見上げれば






「俺はかえちゃんが好きだよ。

この前みたいな事があっても信じてほしい。



もう離れて行かないで」








いつも余裕ありそうなのに。


大人だなって思ってたのに。




今は凄く弱々しい声で。




少し震えていて。







また懲りもせず涙は出始めた。







抱き締めた腕に力を入れて
目をちゃんと見て。









「私も…
好きだよ…


ごめんね…



離れない…信じるよ…」




一つ一つの言葉を小さな声で


それでもちゃんと届くように。












きっと浮気された事はトラウマみたいになってる。

純粋な気持ちを裏切られて。


私はもう神谷を傷付けたくない。







お互いの精一杯の告白。









「ありがとう…」

そう言って微笑む神谷は
私から見ても綺麗で美しかった。




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