くすんだ空を見上げれば


「っつめた…」

「ふふっ
少しは目も覚めたかしら?」


プツンって音が聞こえた。


「かえちゃんっ!!」って神谷が呼ぶ声も。
でももう遅い。

バシャン
「ヒャッ」

ファミレスで私に水をかけた女に向かって
私は頼んでから一口も飲んでないミルクティーをストローごとぶっかけてやった。




気がつけば外に出ていて、神谷にギュッと抱き締められていた。


「ごめんね、大丈夫?」

パッと離されて顔を覗き込む神谷は少し怒ってるように見えた。


「何で……居るの?」

「紅葉から連絡きて、今仕事中らしいから」

…そっか。

コップいっぱいの水をまともにかけられて髪や制服が濡れている。

でも私よりも更にビチャビチャな女がワナワナ震えて勢い良く店内から出てきた。



「ふざけんなっ!!」
神谷の目の前だと言うのにその人は鬼のような形相で拳を振り上げた。


ヤバイッて思って目を瞑るが聞こえてきたのは バンっと何かに当たる音と
「キャッ」て言う女の声。


……えっ!?

恐る恐る目を開けると神谷が私の前にいて、女は店の壁にもたれ掛かっていた。

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