くすんだ空を見上げれば
「入るよ」
真っ暗な部屋で一人 気を静めてたら紅葉が扉を開けた。
「こんな暗い部屋で何してんだよ」
パチッと電気を点けた。
私が起きてる時間帯はこうして部屋に来てくれる。
「座れば?」
立ちっぱなしの紅葉を部屋へ入れる。
「楓は笑わなくなったな…」
悲しそうに私を見る。
紅葉が居ないこの家はつまらない。何も楽しい事もないのに笑う訳もなく。
「友達はできた?」
「まぁ…一人だけ」
神谷を思い浮かべた。
「良かった…。
ずっと一人で居る気なのかと思ってたよ」
少し安心したように笑った。
小さい頃から紅葉は優しくていつも側に居てくれて
今は家に居る事が少なくてもこうして時間を作って私の為に帰って来てくれる。
本音で話せるのは紅葉だけだ。
「俺ってシスコンだな」
ハハッと笑う紅葉。
親よりも私を知ってる。
私は紅葉の事はあまり聞かないが。
「煙草吸って良い?」
「自分の部屋で吸ってよ」
「今は楓と話してるから」
「じゃぁ我慢しなよ」
結局許可もなく窓を開けて吸い出した。
「くさい」
たちまち部屋に煙が充満する。
「悪いな」
「嫌だよ」
そういえば神谷と紅葉って同じ年だ。二人とも未成年なのに煙草吸ってさ。
だけど様になってるのは何でだろう。
「私もブラコンだよ」
何で言ったか分からないが、でも頼れる人も紅葉しかいない。
唯一の大好きな家族。